◆市民科学プロジェクト「City Nature Challenge」の実施
世界中の都市が生物を観察する大規模イベント「City Nature Challenge」において,2018年より生物多様性アカデミーが東京大会を主催している.大会の運営管理のほか,参加者が集まり一斉に生物観察を行うイベントの開催,講演や広報による普及活動,得られたデータを基にした調査・研究を行っている.
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【外部リンク】
Ryo Sakurai, Hiromi Kobori, Dai Togane, Lila Higgins, Alison Young, Keidai Kishimoto, Gaia Agnello, Simone Cutajar, Young-sik Ham (2022). A case study from the City Nature Challenge 2018: international comparison of participants’ responses to citizen science in action. Biodiversity. (in press)
Keidai Kishimoto, Hiromi Kobori (2021). COVID-19 pandemic drives changes in participation in citizen science project “City Nature Challenge” in Tokyo. Biological Conservation, 255, 109001. https://doi.org/10.1016/j.biocon.2021.109001
◆市民科学プロジェクト「水辺の外来種しらべ」
生物多様性アカデミー,NPO法人せたがや水辺デザインネットワークが主催する市民科学プロジェクト.4つの調査地区に生息する外来種数種を対象として,すべての群落の幅や高さなどを観察し,スマホで送信する.地域の方々やこどもたちが集まり,毎年の外来種の状況を観察している.
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◆企業を対象とした環境教育
企業からの依頼や企業との協働により,社員を対象とした環境教育活動を行っている.企業は,事業活動(調達・輸送・加工・提供・廃棄・開発等)において生物多様性と強く関わっているため,SDGsの促進やCSR活動が求められてきたうえ,近年のESG投資やインパクト投資の高まりも相まり,生物多様性の保全や環境保全への活動が求められている.生物多様性アカデミーでは,座学によって生物や環境について学ぶだけでなく,市民科学の一環として,社員が参加できるようなプログラムを提供している.
【実施企業】
東急株式会社 社長室 サステナビリティ推進グループ「環境学習会」
経団連自然保護協議会「企業の生物多様性への役割とスマホを用いた会社・自宅周辺の生き物調査」
など
◆研究発表・出版等
生物多様性や市民科学に関連した原著論文・解説論文・報告などを,国内外の各種学術雑誌や専門誌に投稿している.以前のものに関しては,https://researchmap.jp/hkobori730を参照.
【論文】
Ryo Sakurai, Hiromi Kobori, Dai Togane, Lila Higgins, Alison Young, Keidai Kishimoto, Gaia Agnello, Simone Cutajar, Young-sik Ham (2022). A case study from the City Nature Challenge 2018: international comparison of participants’ responses to citizen science in action. Biodiversity. (in press)
Hideyuki Doi, Hiroyoshi Higuchi, Hiromi Kobori, Sangdon Lee, Richard B. Primack (2021). Declining phenology observation by the Japan Meteorological Agency. Nature Ecology & Evolution, 5, 886-887.(共著)
Keidai Kishimoto, Hiromi Kobori (2021). COVID-19 pandemic drives changes in participation in citizen science project “City Nature Challenge” in Tokyo. Biological Conservation, 255, 109001. https://doi.org/10.1016/j.biocon.2021.109001
小堀洋美 (2020). インターネットを活用した市民科学のイノベーション: スマホを用いたプロジェクトの実践方法とその事例. 水環境学会誌, 43(11), 401-404.
【出版】
和田武・小堀洋美(2021). 地球環境保全論: 持続可能な社会を目指して. 創元社. pp.292.
【学会発表】
岸本慧大, 小堀洋美. コロナ禍における市民科学プロジェクトに見られる行動変容. 日本環境学会, 第47回研究発表会, 2021年7月3-4日.(口頭発表)
咸泳植, 小堀洋美, 岸本慧大. 多摩川と野川下流域における洪水攪乱前後の外来植物群落の比較: 市民科学を事例として. 日本環境学会, 第47回研究発表会, 2021年7月3-4日. (口頭発表)
Hiromi Kobori, Keidai Kishimoto. Comparisons of behavior in “City Nature Challenge-Tokyo” participants before and during the COVID-19 pandemic. Citizen Science Association, CitSciVirtual 2021, online, May, 2021. (poster)
小堀洋美,戸金大,Omar Faustino,Theresa Lally,岸本慧大.国際連携によるパラオ共和国でのWEBを活用した種の多様性の市民科学プロジェクトの展開.日本環境学会,第46回研究発表会,2020年6月.(大会中止.研究発表原稿提出により発表に代える)
【その他】
小堀洋美・加藤裕之 (2020). 市民科学と下水道: ”見える化”で信頼関係を築く.コンセプト下水道第15回 特別対談「熱い人と語ろう!」.下水道情報,1929,24-27.
◆講演・シンポジウム・コメンテーター等
BDA代表理事である小堀が,外部の学会・自治体・団体などで実施される講演会・シンポジウム・イベントでの講演やコメンテーターを引き受けている.
【主な実績】
コメンテーター:多摩川子どもシンポジウムin世田谷
講演:国土交通省水管理・国土保全局下水道部主催「下水道の市民科学」
講師:世田谷生きもの会議
講演:「iNaturalistおよび市民科学の事例と可能性」.日本雑草学会若手の会
講演:「新たな市民科学がもたらすイノベーション:科学,教育,社会課題解決のためのアプローチ」.工学アカデミー第186回談話サロン
など
◆市民科学研究会の実施
生物多様性アカデミーでは,市民科学や市民参加型調査に関する情報共有,プロジェクト研究など,市民科学の展開に関するテーマについて,自由到達な討論を行う研究会を実施している.毎回,異なるテーマの専門家と,多数の参加者による議論が行われ,学びの多い会となっている.
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第13回市民科学研究会
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◆多様な組織との連携(小堀)
多摩川流域懇談会(京浜河川事務所)
世田谷いきもの会議(東京都世田谷区)
下水道の市民科学(国土交通省水管理・国土保全局下水道部)
<過去の活動>
◆国内外の生物多様性に関わる調査研究活動
・生物多様性モニタリング
生物多様性のモニタリングは鳥類、チョウ類、トンボ類を用いて異なる景観スケールでの調査を実施しています。いずれの種も生物指標としての要件を備えているため、1)緑や生物多様性豊かな地域やまちづくりために基礎データの提供、2)緑豊かの街づくり計画の生物多様性の視点からの提案、 3)計画されたエコロジカルネットワークやビオトープの評価などに用いています。
・田んぼの生き物調査
東京都と横浜市の残り少なくなった田んぼの中から、伝統的農法や有機農法を行っている谷戸田、復元田んぼなどを選び、田んぼ内の水生生物調査を行っています。水生生物の採取と同定にはなるべく定量的な方法を用い、農業者やその組織、研究者、NGO、大学の協力を得て取り組んでいます。10年以上農薬を使用しないコメ作りを実践している田んぼでは、環境省、東京都、神奈川県のレッドデータで絶滅危惧種に記載されている種が予想を超えて確認できました。里山のシンボルでもある田んぼの生物の現状を今後もモニタリングしていきます。
・シンガポールでの政府の環境施策と「都市の生物多様性シンガポール指標」の現状把握
2013年2月にシンガポールの環境省を訪問し、シンガポールの水質・大気、廃棄物に関する施策の現状について、聞き取り調査を行いました(写真)。また、国立公園局を訪問し(写真)、公園局が事務局となり、2008年の生物多様性条約会議(CP9)にシンガポール政府と生物多様性条約事務局が提案した、国際的な都市の生物多様性指標(シンガポール指標)の作成の経緯やCOP11に向けたロードマップについて、インタビューをおこないました。シンガポール指標は都市が自らの生物多様性についてモニタリングできる自己評価ツールで、在来の生物多様性、生態系サービス、運営と管理の3つ分野からなる23の指標を各々0~4点のスコアーで評価して合計することにより、都市の生物多様性の国際比較が可能となります。日本でも導入が検討されはじめています。
・マレーシア・ボルネオ島
・オアフ島
・サンフランシスコにおける環境インターン制度に関する調査
・韓国ウポ湿地
◆市民科学研究
・隔月市民科学研究会を開催
◆生物多様性に関する講演・シンポジウム・交流会の開催
・オープンカフェ
・キース氏講演
◆生物多様性に関わる環境教育プログラムの実施
生物多様性アカデミーでは高知県・四万十川自然環境研究クラブから依頼を受け、当アカデミーの講師を派遣して生物多様性に関する環境教育活動を実施しています。
四万十川自然環境研究クラブは毎月、地域の高校生を対象に四万十川流域に関する治水や利水、防災安全、森林、沿岸域、生物など幅広いテーマを専門の講師陣が高校生にレクチャーやフィールドワークを行う活動です。
◆環境教育支援
・チョウのラミネート標本を作製
自然観察における蝶観察の初心者や小中学生の教材として、横浜市都筑区内に飛来した蝶(18種)を採集して、翅のみをラミネートで加工し表裏が判別可能な標本を作製しました。使用目的から和名や雌雄、春型・夏型・秋型のみを表示し採集者名や場所は表示していません。
今後の環境教育活動での活用を目指し、観察で飛来した蝶の種類を増やしていきます。
・ビオトープ、緑のカーテン
◆生物多様性に関わる企業・行政・教育機関への事業の共同企画や支援などの受託
・山形県酒田市での藻場再生業務
◆海外機関との学術連携
・プサン大学と協定
・ボストン大学・コーネル大学・フロリダ大学と共同研究
◆活動に関する情報発信
・国際会議・学会などでの報告
・会報発行
これまでの活動・事業実績