第27回市民科学研究会「eBirdを用いて多摩川河川敷の野鳥を知る」 の実施報告

全3回の連続セミナー「eBird を通じて日本の野鳥を知る」の最終回として、9月24日(日)に東京都市大学二子玉川夢キャンパスにて、第27回市民科学研究会を開催しました。本研究会は、(一社)生物多様性アカデミーが主催し、(公社)日本野鳥の会および東京都市大学二子玉川夢キャンパスにご協力いただきました。当日は、(公社)日本野鳥の会の岡本裕子氏、奴賀俊光氏、葉山政治氏の3名を講師にお迎えし、定員を超える20名以上の方に参加いただきました。講師の皆様と参加者の皆様には感謝申し上げます。

今回の研究会では、以下の3点を目的としました。

1)多摩川河川敷で見られる野鳥やその識別ポイントを知る。
2)野鳥を観察し、アプリ「eBirdモバイル」で記録・投稿する手順を体験する。
3)これまでにeBirdに投稿されたデータとの比較から、継続的に野鳥を観察し、データを蓄積することの意義を知る。

プログラムは以下の通りです。

司会:岸本慧大(慶應義塾大学大学院後期博士課程)

【10:00‐10:05】挨拶:小堀洋美(生物多様性アカデミー代表・東京都市大学特別教授)

【10:05‐10:10】eBirdの概要と使い方:岡本裕子(日本野鳥の会)

  • eBirdの概要説明
  • モバイルアプリの設定状況、投稿方法の確認
  • 識別アプリMerlinの使い方の説明

【10:10‐10:30】多摩川河川敷で見られる野鳥と野鳥観察のポイント:奴賀俊光(日本野鳥の会)

  • 多摩川河川敷で見られる野鳥(これまでのeBirdの投稿データより)
  • 野鳥識別のポイント
  • 双眼鏡の使い方

【10:30‐11:40】野鳥観察とeBird体験:岡本裕子・奴賀俊光・葉山政治(日本野鳥の会)

  • 多摩川河川敷・兵庫島公園
  • その場で見られる野鳥(サギ類など)を観察
  • 全員で個体数のカウントと入力の練習
  • 兵庫島公園から上流に向かって移動しながら野鳥観察・eBirdに記録

【12:00‐12:20】観察結果の共有と情報の活用:葉山政治(日本野鳥の会)

  • 日本野鳥の会スタッフが観察した野鳥をeBirdで確認・振り返り
  • 過去のデータによる兵庫島公園の野鳥の状況
  • 越冬分布の紹介
  • 継続的に観察結果を投稿する意義とその活用

【12:20‐12:30】質疑

【12:30‐12:35】閉会の挨拶:咸泳植(東京都市大学准教授)

【12:35‐12:40】アンケート 

まず、キャンパスにて、eBirdの概要や使い方、野鳥観察のポイントについて解説していただきました。eBirdに関しては過去2回の市民科学研究会でも解説いただいていますが、改めてeBirdで適切なデータを投稿する必要性やその方法を、参加者の皆様に再度確認いただきました。続いて野鳥観察のポイントとして、過去5年間の9月に観察された野鳥が30種あり、とくに観察が期待されるアオサギやコサギ、ハクセキレイやキセキレイ、スズメやカワラヒワなどの識別のポイントを解説いただきました。

続いて、兵庫島公園から上流側の新二子橋にかけて、双眼鏡とeBirdを用いながら野鳥観察を行いました。多摩川の中州や水際などにハクセキレイやアオサギなどが確認されました。参加者のみなさんも、慣れない双眼鏡に苦慮しながらも、遠い中州に野鳥がいることが紹介されると、一斉に双眼鏡を向けて探していました。

最後に、観察結果を共有しました。日本野鳥の会の葉山氏によれば、15種が確認されました。主に観察されたのは、カワウ(49)、カワラバト(30)、アオサギ(18)、ダイサギ(14)、ムクドリ(12)でした。また、カワセミやセグロセキレイも観察されました。本研究会の取組みを総括し、参加者の皆さんには今後もeBirdを用いて野鳥の観察を継続し、野鳥についてより造詣を深め、保全にためにデータを収集してほしいとの考えを紹介いただきました。

参加いただいた皆様は、野鳥の識別のむずかしさやアプリの操作のむずかしさに悩まれている様子でしたが、実際に観察して楽しかったとの声や、地域の野鳥の様子を知れてよかったとの声がありました。今後もキャンプや家族とともに使用したいとの声が聞かれました。

報告:小堀・岸本

 

 

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