新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。
辰年を迎え、皆様の益々のご活躍を祈念いたします。

今年は、干支の甲辰で、「甲」は、十干の一番目の文字で、物事の「はじまり」を象徴し、「辰」は万物が成長して動きが盛んになることを象徴していると言われています。今年こそは「あるべき社会」に向けて、新たな創造や活動が始まり、戦争、災害、、気候変動、生物多様性の危機などのリスクの高まりによる「ありうる社会」を回避できるレジリアンスの高い社会の構築へ、今まで以上に一人一人が活発に動き出すことが求められています。

私たちの生活、社会・経済の基盤である生命圏(生物多様性)への取り組みにも、変化の兆しが見えています。例えば、「生物多様性」の言葉は「自然資本」と同義で使用される傾向が強まり、企業、投資家も生物多様性への貢献を自分事と捉えるなど、生物多様性は社会の共通言語となりつつありことは望ましいことです。

また、2022年末のCOP15および昨年4月に閣議決定された日本の「生物多様性国家戦略」の2030年目標として掲げられた「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現に向けて、本格的に動きだす年でもあります。「ネイチャーポジティブ」は自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させることです。しかし、その実現は容易ではありません。その理由は、生物多様性の損失の直接的な原因への解決策だけでは、抜本的、効果的な解決にはならないためです。生物多様性の損失は、複雑な問題群が絡み合った厄介な問題群です。とりわけ、私たちの持続不可能な社会とそれを容認している個人の価値観や態度を変容させることが求められています。

当アカデミーのミッションである、生き物、自然、人、社会のつながりを見つめ、つなぎ直す活動は、社会のミッションとしても重要な時代となりました。今年も多様な研究、教育、社会活動を進めて参ります。書籍の出版、多様な学会誌や一般誌での執筆と提言、講演やセミナーの開催(関連団体とのコラボも含む)、実践的な教育・社会活動を行ってまいります。

当アカデミーの市民科学研究会のセミナーは昨年で27回を重ねました。市民科学の国際的な進展は目覚ましく、多様な分野への広がりと多くの成果が蓄積されています。国内でも、市民科学の認知度が上がり、多様なプロジェクトが展開されています。当アカデミーでは、海外の市民科学の研究者・実践者とのコラボによる活動、国際的な動向への発信、webを用いた国際プロジェクトを実施の予定です。

本年も皆様のお力添えをいただき、有意義な活動を実践できることを願っています。
何卒、宜しくお願いいたします。

代表理事
小堀洋美

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