雨水ネットワーク全国大会in東京への参加と協力
2016年8月5日(金)~7日(日)に、東京都市大学夢キャンパス(東京都世田谷区二子玉川)で、第9回雨水ネットワーク全国大会が開催され、生物多様性アカデミー(BDA)も2つブースを出して参加者とのワークショップを行うプログラムを実施しました。
◆雨水利用による絶滅危惧植物の生息域外保全の新たな試み
二子玉川ライズにある、雨水を利用した昔の多摩川の風景を再現した人工のせせらぎでは、絶滅危惧種のカワラニガナが保全されています。ワークショップの参加者約20名は、二子玉川ライズのカワラニガナ保全地を見学し、保全の取り組みにかかる費用や、取り組みに対してどれくらい支援が得られるのかについての試算を行いました。カワラニガナの保全活動への支払いの意思は、参加者の平均値で、1,874円でした。年間の二子玉川駅の利用者は3000万人とされているため、そのうち1%が支援に協力すると5億6千万円以上となるという試算となりました。
試算結果をもとに、絶滅危惧植物を保全する取り組みの価値や、よりよい保全にするための方法についてディスカッションを行いました。参加者からは以下のような色々な意見が出され、活動への理解が深まり、今後についてのヒントも得られる機会となりました。
・取り組みにかかるお金を考えると絶滅危惧種になる前の保全が大切ではないか。
・支援者数は、屋上の来客者などを調査することで精度の高い試算になると思う。
・支援を得る場合は支援金を安くして間口を広く取ることが大切である。
・会員制にして支援者のへの特典を考えるとよい。
・保全の取り組みを知らせる広報を充実させるとよい。
◆めだか池の水質調査
二子玉川ライズの屋上庭園の現地見学とめだか池の水質調査結果から、めだか池がメダカの過ごしやすい水環境であるか、というテーマでワークショップを行いました。
水質調査では、多摩川を模したせせらぎの上下流の2点、めだか池の中央部の合計3地点で水を採取し、夢キャンパスに戻ってから水温、残留塩素、pH値を測定し、その結果を議論しました(写真1)。
その結果、めだか池の水温は32.1℃と高く、メダカの生育良好水温(15~29℃)を超えていたことがわかりました。pHも9.1と高く、適正pH(7.0~8.5)を超えていました。残留塩素はメダカにとっては本来ないほうが望ましいですが、0.1ppm以下の値で検出されました。
これらの結果に基づいて参加者とディスカッションを行い、以下のような意見や感想が出されました。
・測定した水質はめだか池にいるメダカにとってかなり厳しい生息条件ではないか。
・改善点としては、周りに樹木を植えて日陰を作り、水温を下げるのが良いのではないか。
・温度が高い時には水量を増やすことによって、水温を下げられるのではないか。
・ルーフガーデンでは、生息している生物を掲示することで、一般の人が知る機会が持てることがよかった。
・昼夜と年間にどのような水質の変化があるのかを知りたいと思った。
・めだか池が屋上にあると屋上緑化にはなるが、地上にあるほうが人の目につき良いのではないかと思った。