CNC2023の世界482都市と東京の結果のお知らせ

 

 CNC2023は4月28日(金)から5月7日(日)の10日間にわたって開催され、最初の4日間のスマホを用いた野外での生物観察・投稿、残りの6日間の観察された種の同定を終えて、無事に幕を閉じました。今年は世界の46か国から、昨年を上回る482都市が参加しました。日本からは、石川県・大阪府茨木市が初めて参加し、合同イベントの開催や情報共有を通じて、City Nature Challengeをより一層盛り上げました。
東京大会であるCNC2023-Tokyoにも多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。4月29日(土)には、(一社)生物多様性アカデミーと東京都市大学 夢キャンパスの共同主催で、対面とオンラインのハイブリッドイベントを開催しました。当日は国内の3地域(東京都、石川県、大阪府茨木市)をインターネットでつなぎ、3地域の観察結果を共有する初めての試みも実施しました。関係者の皆様のご尽力に感謝いたします。
さて、実施本部であるロサンゼルス自然史博物館とカリフォルニア・アカデミーオブサイエンス(California Academy of Science)から、東京の結果を含めた全参加都市の結果が各都市のオーガナイザーに届きましたので、その概要をお知らせします。

Ⅰ.世界の都市の結果

本年度は、世界の46か国の482都市が参加し、2018年に世界の都市が参加を開始して以来、最も多くの都市が参加しました。世界の全参加人数は約66,400人にのぼり、生物の観察数は約187万、観察された種数は約57,200でした(表1)。このうち、全都市で2,570種の希少種、絶滅危惧種が観察されたことは注目に値します。世界の都市で最も多く観察された種はマガモ(Anas platyrhynchos)でした。


世界の参加都市の中で生物の観察数のトップ3は①ラパス(ボリビア):126,435、②ケープタウン(南アフリカ):52,518、③ダラス/Fort Worth(米国):48,021の順でした。また、最も観察した種数が多かったトップ3は①ラパス(ボリビア):5,344、②香港(中国):4,469、③コサラ(メキシコ):3,912の順でした。観察者数の世界のトップ3は、①ラパス(ボリビア):3,025人、②サンフランシスコBay Area:2,488人、③ロサンゼルス郡(米国):1,671人でした。なお、上記の比較は、都市の面積、人口、気候帯などは考慮していません。

Ⅱ. 東京の結果

本部での集計時(各都市の5月9日9:00)の東京の生物の観察数は、4,971で世界の94位と健闘しました。観察された種数は990種で、参加者数は152名でした。参加されたお一人お一人が楽しみながら、貴重な時間とエネルギーを注いでくださったことに感謝申し上げます。
参加者数はコロナ禍では減少しましたが、今年の参加者数は奇しくもコロナ禍前の2019年の参加人数と同数でした。また、同定者の数は159名と参加者数より多かったのは、日本各地と世界のiNaturalistの登録者も同定の作業に協力してくださったためです。なお、生物の観察数の52・1%は、研究グレードとして判定されたことは、世界でも高い割合と評価できます。
また、個人による4日間の最多の生物の投稿数は660、最多の観察種数は326との驚異的な数でした。多くの投稿をくださった皆様には敬意を表します。
観察された生物については、最も多く観察された生物のトップ5は、ハルジオン、シロツメクサ、ユウゲショウ、アカツメクサ、ヘラオオバコの順で、いずれも日本の在来種ではなく、ハルジオンが帰化植物である以外は外来種であることは注目されます。同定された種の分類群からみると植物が62%と最も高い割合を占め、次いで昆虫23%、鳥類6.7%、菌類2.4%、クモ類2.4%、爬虫類0.8%、両生類0.4%の順でした。
これらの生物の情報は、以下のCNC2023TokyoのWebサイトに詳細に記載されていますので、ご参照ください。
https://www.inaturalist.org/projects/city-nature-challenge-2023-tokyo?tab=stats

4月29日の東京でのハイブリットイベントの実施会場(東京都市大学 夢キャンパス)
 
日本のCNC2023の参加の3地域をインターネットでつないだイベントの様子:オーガナイザー(小堀、岸本)によるイベントの意義と実施内容の説明
 
多摩川河川敷での観察の様子
 
 
3地域での観察後の情報共有と参加者の意見交換の様子
 
[撮影:園部孝夫氏]
報告者:CNC2023-Tokyoオーガナイザー:岸本慧大・小堀洋美